ここでは、自分でも人参のたねとりをしたいと思った方のために、NOF TOMONARIでの人参採種方法について紹介しています。 7月下旬から播種して収穫まで120日。そしてそこから採種までさらに180日。トータル300日の人参たねとりスタートです。
「採種用人参の種まき時期」
人参の栽培は春まき、夏まきなどがありますが、採種する場合は、夏まきで行います。
播種日:7月20日~8月20日(寒冷地などでは6月下旬頃~)
播種方法:グリーンシーダーを使用(X-12ロールで10㎝株間、間引きは2回行います。)
11月上旬~翌年2月までの出荷に合わせた人参育成に取り組んでいます。
「人参育成の方向性」
在圃期間が長くても、割れない。
ある程度の系統を混ぜて選抜。
人参くささのある野性味。
上記とは反対の人参くささのない食べやすい味。
「たねとり前の準備」
「種の充実を高める栽培」
まずは、自分の必要な出荷時期に合わせた栽培をします。この時、できることなら出荷用と採種用と分けて栽培できると良いです。なぜかというと、人参の採種という点で、栄養過多に育った人参は充実した良い種がとりににくなるからです。なので、採種用圃場では、元肥なしで競争させながら間引きを行い根ばりのある生育を行ってあげたいのです。
そして出荷したい時期に抜き取ります。選抜のはじまりです。今回は早く先っちょまで太るタイプ(早生)。長くなるタイプ(根長)。など混ぜて選抜しています。
「選抜風景」
人参は常に交雑して生き残る生き方をしています。(他殖性)なので、あまり同じ系統ばかりを強く選抜しすぎるのは、あまり良くありません。少し違う。爆弾的なモノも混ぜた選抜を行います。
また、上記にも書いたように交雑していくなかで本数が少なすぎるのは良い結果を生まないようです。なるたけ20本以上(理想は50本ほど)植えつけをお薦めします。場所がなければせめて10本以上必要とします。
これは、補足ですが人参は雄しべと雌しべが同じ花の中にありますが、自家受精を避けるため先に雄しべが熟します(雌雄異熟)。結果、後から咲いた花の雄しべ花粉で、先に咲いた雌しべと受粉します。
「選抜のポイント:葉軸」
葉軸が太く葉の勢いが強いと、肩が張り、草勢強く、小肥性傾向になります。
ただ、そればかり選抜すると芯も太く硬い肉質になります。ある程度混ぜることがポイントです。
「選抜のポイント:根長」
短根でずんぐりタイプ、ノッポで細いタイプ。色々でてくると思います。これも結果としては混ぜたほうが良いです。ただ、抜いた人参を並べて長さを分けてください。長根、標準、短根と分けれるはずです。
その標準のなかで選抜を行うことが基本です。一方、五寸じゃなくてもっと長くしていきたければ、長根人参から選抜していけば長くなる傾向にあります。
「移植」
株間は40㎝~50センチで植えていきます。
しっかり活着するよう埋め戻した後、足で土を踏み固めます。
私のエリアは凍てつきが強いので、人参の葉はロゼッタ状になるか、一度枯れます。枯れても3月になればまた新たな芽を出してきますので大丈夫です。根が腐らないように排水などがしっかりできる場所を選んで下さい。
「抽苔のはじまり」
4月下旬、桜(ソメイヨシノ)の葉が出るころ、人参も葉を伸ばし始めます。そしてツツジが咲くころ人参の花芽が抽苔してきます。(ゴールデンウィーク頃)
それまでに、人参の周りに支柱やフラワーネットなどを用いて倒れないように準備しましょう!
人参の背丈伸びる時で170センチほどにまでなります。
「花の整枝」
人参はたくさんの花をつけるのですが、種の充実を考えるとただ放任というわけにはいきません。
そのため頂花と主枝から出た子枝を残し、孫枝以降はちょん切ります。3~6花あれば良いです。
2015年は5月25日ごろ満開。整枝もその頃行いました。
「種の採種」
開花後、40日以降で花が茶褐色になれば採種します。早く暗褐色になったものは不完全な熟し方です。発芽が悪くなります。
「種の休眠」