ここでは、神主谷冬菜の種採りを行って行きたいと思う方のために、種採りの流れ、作業、コツなどについてお知らせします。
「冬菜の種をまく時期」
種をまく時期は、収穫したい時期で決まります。ここでは露地の1月なので、
播種日は10月上旬-10月10日頃までとなります。
「育種」
育種というと難しいと考える人が多いようですが、要するに字のごとく種を育てていくことです。そしてその中で大事なことは観察と感じることです。
「選抜における求める特徴」
1月の露地で収穫を目指すワケですから、まずは低温伸長性と耐寒性、そしてアントシアニンが出ないことです。
「葉の形状」
生育の段階で神主谷冬菜を観察していると、葉の形状の違いに気が付かれると思います。葉の形状は大きく分けてみると3つ出ます、1)小松菜に似た丸みをおびギザギザ。2)大根葉のようなもの。3)水菜のようなキレ葉。が出てくると思います。この内、丸みを帯びたギザ葉が神主谷冬菜です。ただし注意点があります。あまりに同形質を選抜しすぎるとよくありません。段々弱くなって種がとれなくなってしまいます。(自家不和合性)なので上記の2つも混ぜて採種しています。なので固定していますが、分離したものが必ず出ます。
2018/11追記
左の写真上部のようなギザギザした葉が、からし菜系の葉で、この血が強く出ると、味に辛みがでますが、味が複雑になり美味しくなるのかなと推測しております。
ギザ葉の血を強めに持っていくと、先端は丸葉ですが、軸部はギザギザした感じとなり良いのかなと思います。
「たねとりの準備」
たねとりの準備は主に支柱やアーチで冬菜を囲うことです。3月10日頃から抽苔が始まるので、それまでにとりかかります。NOFでは使ってないパイプとマイカー線、マルハナネットで囲ってます。
抽苔日:3月15日頃、開花日3月20日頃。
2015年は3月20日に抽苔開始。
「受粉」冬菜の受粉は主に虫媒花といって虫(ミツバチ、アブ類、ハエ類など)が行っています。そのため、その他のアブラナ科野菜と交雑しないようにネットをかぶせます。
けれど、ネットをして完全に虫が入らないと、風の揺れで受粉したりしますが、うまく受粉しないみたいで採取量が減ります。なので花粉棒などで花粉を擦りつけてやるか、時々ネットを開けて花粉玉を持ってないミツバチを誘導します。一度入ったのを確認したら閉じ込めます。2Km県内に同じアブラナ科が咲いていなければ、ネットをせずとも可能です。
「アブラナ科の性質」
一般的に、アブラナ科は他殖性が強いです。これは恐らくですが、他の株と交雑することで、新たな形質を得て環境適応していこうとするアブラナ科の戦略だと思います。ただ、それだと同じ味(近い味)が出せず困ります。
「冬菜の採種」採種日1回目:5月20日、採種日2回目:6月10日
冬菜は開花して受粉すると花が落ち鞘が残ります。この頃から40日~50日ほどで採種しても発芽します。
ただ、できれば充実した種をとったほうが良いと思います。なので60日ほどたってから種が弾けるまでに刈り取って下さい。NOFでは、リスクの分散として2回刈り取りをしています。1回めは早めに取れるうちにとっておきます。とりあえず種をとっておければ安心です。
充実した種はメジロ、ヒヨドリが食べますので、鳥対策も行って下さい。
雨のない一番乾燥した昼から午後2時ぐらいに採種すると良いです。
「種の選別・保存」
刈り取って雨のかからない風通しのよい太陽が直接当たらない場所で乾かします。
乾き具合は鞘が手でパリッと割れ中の種が固くなっていれば大丈夫です。
木の棒などで叩いて実をとり風選します。トオミやテミなど使って選別して下さい。
保存後はラベルに採種日、名前など書いてビン爪で保存します。乾燥剤などを入れて湿気の少ない涼しい場所で保存して下さい。